「自由席」ならここを狙え!700系こだま号

鉄道雑学

 山陽新幹線で運行されているこだま号は、8両編成の500系と700系が主に使用されています。列車により異なりますが、1〜3号車と7・8号車が自由席、真ん中の4〜6号車が指定席というのが基本的な座席区分です。

 さて、今回のテーマは「700系こだま号の自由席」ですが、実は同じ自由席でも座席のグレードが全く違うということ、ご存知でしょうか?結論から申し上げますと、700系こだま号の自由席に乗車する場合は、博多寄りの1〜3号車ではなく、新大阪寄りの「7・8号車」に乗車するのが断然オススメです。さらに、7・8号車の中でもオススメの座席があります!今回の記事を参考に、こだま号で快適な時間を過ごしましょう!

迷わず7・8号車を選べ!

 なぜ、新大阪寄りの7・8号車をオススメするのかというと、1〜3号車は3列+2列の横5列のシートなのに対し、7・8号車は2列+2列の横4列のシートになっていて、居住性が格段に違うからです。さらに詳しく見ていきましょう。

 1〜3号車は、一般の新幹線普通座席と同様のシートになっています。決して狭いわけでもありませんが、居住性としては普通のシートです。

 対する7・8号車は、グリーン席に匹敵するシートになっていて、とても快適です。肘掛けも広くとってあり、隣に人が座っていても気になりません。シートも重厚な作りになっていて、体をスッポリと包み込んでくれます。グリーン車との違いは「読書灯やフットレストが無い」「絨毯張りではない」くらいです。同じ料金を払って自由席を利用するのであれば、7・8号車を選択しない手はありません。

さらにオススメの座席とは!?

 もう十分快適な7・8号車ですが、さらに同じ車内でもちょっとした違いがあります。

最前部・最後部座席

 4〜8号車の客室内最前部、ならびに最後部の座席には大型テーブルとコンセントが設置されています。最新のN700S系には全席にコンセントが設置されていますが、2000年にデビューしたこの車両には、限られた座席にしかコンセントが設置されていません。その数少ない限られた座席が、この4〜8号車の一番前と一番後ろの座席です。一番後ろの座席のコンセントは、背もたれの後ろに設置されているものを使用できます。

 スマホが必需品となった現在、移動中に充電できる環境か否かはとても重要な要素ですね。一番前の座席であれば大型テーブルが設置してあるので、パソコン作業はもちろん、タブレットで動画を観るのにもとても便利です。

車椅子スペース付き座席

 7号車の12番A席と、13番A席は、2列ではなく1列、なんと隣の席がない単独席です。ここは、車椅子を利用する方が空いている区画に車椅子を置けるように設計されているのですが、自由席ですので当然空いていれば利用することができます。隣を気にする事なく、一人でゆっくりとくつろぎたいという方にはオススメです。周りが広すぎて、ちょっと落ち着かないくらいです(笑)

ウエストひかりの伝統

横4列席の歴史

 同じ自由席なのに、なぜこうも座席のグレードが違うのか?一見すると不平等ですよね。実は、以前は7・8号車も常時「指定席」として使用されていた時代がありました。これはその名残なのです。山陽新幹線のこだま号に使用されている700系は、もともと「ひかりレールスター」という山陽新幹線内のみで使用されるひかり用の車両として開発されました。その時の座席区分が1〜3号車は自由席、4〜8号車は指定席だったのです。そして、もっともっとさかのぼると、ひかりレールスターの前身である「ウエストひかり」という列車が過去に存在し、この時の座席配置が受け継がれていたのです。

ウエストひかり

 国鉄分割民営化から1年後の1988年、新大阪〜博多駅間に登場しました。航空機に対抗すべく、これまで国鉄時代には実現しなかった様々な施策が試みられたのですが、その内の一つが普通席に導入された2列+2列の横4列シートです。

 ウエストひかりは好評を博しましたが、車両は初代新幹線の0系を改造したものであったため、次第に老朽化。速度も220km/hまでしか出せなかったので、だんだんと高速化する新幹線についていけなくなっていきました。

ひかりレールスター

 老朽化しているウエストひかりの専用後継車両を作ろう!ということで2000年に誕生したのが、この「ひかりレールスター」です。ひかりレールスターはウエストひかりの横4列シートの伝統を引き継ぎ「サルーンシート」という名称で華々しくデビューしました。当時最新型であった700系を使用して最高速度は285km/hに向上。新大阪〜博多駅間を2時間45分で結び、同区間をおおよそ3時間で結んでいたウエストひかりと比較して、15分ほどの時間短縮も達成しました。

九州新幹線さくら号

 このひかりレールスターも大変好評でしたが、転機が訪れたのは2011年。九州新幹線全線開業と、山陽新幹線との直通運転開始でした。直通運転で新たに加わった「さくら号」は、山陽新幹線のひかり号のほとんどを置き換えました。そのため、余剰となった700系は「こだま号」として第二の人生(車生?)を歩む事になったのです。

 現在さくら号に使用されているN700系の指定席車両である4〜8号車は、横4列のシートとなっていてとても快適です。ウエストひかりやひかりレールスターの伝統が、ここで脈々と引き継がれているんですね。

※2024年現在も、ほんのわずかではありますが一部区間に「ひかりレールスター」が生き残っています。

忘れないで!利用時の注意点

座席区分を必ず確認!

 山陽新幹線のこだま号の座席区分は、のぞみ号と違って列車により異なります。基本は4〜6号車が指定席ですが、4〜8号車が指定席となっている列車も少なくありません。これらの列車に自由席と間違えて7・8号車に乗車しないよう注意しましょう。また、逆に4号車が自由席となっている列車や、全席自由席の列車も存在します。乗車時は駅の発車標で、自由席が何号車なのかをよく確認して乗車して下さい。

そもそも定員が少ない

 7号車と8号車の合計席数は86席、それに対して1〜3号車の合計席数は245席です。7・8号車は横4列席で、かつ2両しかないため、必然的に座席数は少なくなっています。混み合う時期や時間帯によっては7・8号車が満席となっていることがあります。快適に座るつもりがデッキに立つ羽目になってしまっては本末転倒です。混雑時は定員が多い1〜3号車をあえて選ぶなど、時期によって使い分ける方が良いでしょう。

700系こだま号まとめ

 以上が、700系こだま号の自由席のお話でした。ここまでの内容を以下にまとめます。

  • 7・8号車の横4列席が快適でオススメ。
  • 最前部は大型テーブルとコンセント付きで、さらに便利。
  • 7号車12番A席・13番A席は、隣がいない広々スペース。
  • 7・8号車が快適なのは、指定席であったひかりレールスター時代の名残。
  • 指定席になる場合があるので、座席区分は乗車前に必ず確認。
  • 混雑時は7・8号車から座席が埋まることがあるので注意!

 山陽新幹線に自由席利用で乗車するとき、もし時間に余裕がある場合は、混んでいるのぞみ号よりも空いていて座席が快適なこだま号に乗車される事をオススメします。時間こそかなりかかってしまいますが、その分ゆったりと過ごせて、快適なひとときを過ごす事ができます。今回の記事を、山陽新幹線の快適な旅行に役立てていただけたら幸いです。

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