今回のテーマは「屋根のない新幹線駅」です。正確には、ホームの一部において屋根が設置されていない駅があります。
新幹線駅は立派な高架駅で、設備も充実しているというイメージを皆さんお持ちだと思います。東北・上越・北陸新幹線といった雪国を走行する新幹線の一部の駅においては、スノーシェルターと呼ばれる屋根で駅構内全体を覆い、人を風雪から守るほか、除雪作業を行わなくてもよくする工夫までされた駅があります。
しかし、温暖で雪もそれほど降り積もらない地域を走行する山陽新幹線では、スノーシェルターは当然のことながら設置されていません。それどころか、屋根がホーム全体に設置されず、待つ場所によっては雨でびしょ濡れ、日差しでジリジリになってしまう駅があるのです。今回は、そんな要注意な山陽新幹線の駅についてご紹介いたします。
西明石駅
屋根の長さ
西明石駅はおおむね毎時1本、16両編成のひかり号が停車する駅ですが、ホームの屋根は上り・下りホームともに1~13号車までしかありません。その為、14~16号車の東京方3両に乗車する場合は、屋根のないホームから乗降する事になります。16号車だと最大25メートル×3両分で75メートル、もし雨だった場合は傘をさして歩かなくてはなりません。ひかり号は6~16号車が指定席ですので、西明石駅利用の場合はこの3両を避けて予約した方が無難ですね。降りた瞬間にびしょ濡れになったらガッカリです。
駅の特徴
西明石駅は本来こだま号がメインの駅で、2000年からひかり号が1時間に1本停車するようになりました。開業当時は16両編成を定期列車で停車させる予定がなかったので、省略されたのかもしれませんね。
JR西日本がホームページで公開している「データで見るJR西日本」によると、2022年度の西明石駅の運輸取扱い収入は18,716千円で西日本管内では第18位。結構健闘していて、北陸新幹線の福井駅や、のぞみ号が停車する徳山駅よりも上位です。在来線の収入も含まれているので単純な比較はできませんが、これだけの利用者がいるのであれば屋根があってもよいのではないかなと感じてしまいます。
新尾道駅・東広島駅
屋根の長さ
この両駅は、それぞれ8両分の長さしか屋根がありません。新尾道駅は16両編成だと5~12号車の位置、東広島駅は4~11号車の位置にのみ屋根が設置されています。8両編成のこだま号がメインなので普段困る事はありませんが、6・7時台に16両編成のひかり号が運転されているので、この列車を利用する時は注意が必要です。
駅の特徴
山陽新幹線の岡山~博多駅間は1975年に開通していますが、新尾道駅と東広島駅は開業当時存在しませんでした。開業から13年が経過した1988年3月13日、自治体の負担で後から建設された「請願駅」です。16両編成を停車させるホームを確保しつつ、必要最低限の経費で作られたといったところでしょうか。地元の要望により建設された両駅ですが、広島統計年鑑(令和4年版)によると、令和3年度の乗車人員は新尾道駅が736人/日、東広島駅が891人/日と利用客は多くありません。
厚狭駅
屋根の長さ
こちらも山陽新幹線博多開業時にはありませんでした。これまで紹介した駅の中で最も新しい、1999年3月13日開業の新幹線駅です。この駅のホームの屋根は山陽新幹線駅の中で最も短く、6両分しかありません。16両編成だと上りは6~11号車、下りは4~9号車のみ屋根が設けられています。8両編成のこだま号だと、上下ともに1号車と8号車が屋根なしとなるので注意が必要です。
駅の特徴
こだま号のみが停車するとはいえ、せめて8両分は屋根を設けてほしかったところですが、開業当時こだま号は4両ないし6両であったため、こちらも必要最低限の設備しか設けられなかったのでしょうね。令和5年刊山口県統計年鑑によると、令和4年の乗車人員は48万2千人とのことなので、1日当たり1,320人が利用しています。
以上が、一部屋根のない山陽新幹線の要注意駅です。雨の日、下車した瞬間ずぶ濡れだと気分も落ちますよね。比較的規模の少ない中間駅なので、なかなか機会はないかもしれませんが、今回紹介した駅を利用する際は、自分が屋根なしの号車に乗車していないかどうか確認してみて下さい。この記事が皆様のお役に少しでもたてたら嬉しいです。
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