新幹線で移動するときは、たいてい1〜2時間以上の長時間にわたって乗車することが多いと思います。忙しいビジネスマンの方にとっては、この移動時間も有効に活用したいところではないでしょうか。そこでオススメしたいのが、東海道・山陽新幹線で運用されているN700S系に設けられている「S Work車両」です。座席で携帯電話の通話が可能なほか、他の車両より通信容量が大きいWi-Fiが利用できたりと、ビジネスパーソンにとって嬉しい設備が整っています。今回のテーマは「S Work車両」です。それでは、詳しく見ていきましょう!
サービスの概要
S Work車両とは、仕事を新幹線車内でも気兼ねなくできるよう様々な設備を備えた車両で、N700S系新幹線の7号車に連結されています。
S Work車両の特徴
- Wi-Fi容量が2倍の「S Wi-Fi for Biz」が使える。
- 客室内で携帯電話の通話が可能。
- 隣の席とパーテーションで仕切られた「Pシート」が設置されている。
- ビジネスブースが利用できる。
S Wi-Fi for Biz
Shinkansen free Wi-Fi
新幹線は「Shinkansen free Wi-Fi」というサービス名で、無料Wi-Fiサービスを展開しているのですが、混雑する車内では容量が逼迫し、通信速度が極端に遅くなることがあります。ひどいときはYahoo!のトップ画面が開きません…。
通信容量2倍
「S Wi-Fi for Biz」は、S Work車両で利用することができるWi-Fiサービスで通信容量が一般車両の2倍になっており、通信サービスの改善が図られています。また、通常は1回につき接続時間30分の制限がついているのですが、S Work車両では無制限に接続することができるほか、セキュリティ面もより強化されたものになっています。
8号車グリーン車でも使用可能
余談となりますが「S Wi-Fi for Biz」は7号車のほか、隣の8号車グリーン車でも使用できます。グリーン車を利用する際、通信環境が整った車両を希望するのであれば8号車がオススメです。
客室内での通話が可能
通常、携帯電話で通話する際はデッキに出る必要がありますが、S Work車両では客室内にいながら通話することができます。仕事の打ち合わせや、パソコンでのwebミーティングに配慮された環境になっています。ただし、周りの方に迷惑をかけないようにする心遣いは必要です。
Pシート
概要
「Pシート」は隣の座席とパーテーションで仕切られており、周りを気にせずにパソコン作業をすることができるシートです。また、パソコン作業がしやすいように背面テーブルが改良されており、手前に引き出した後に傾き、角度が付けられるようになっています。
設置箇所・料金
Pシートは7号車の6番から10番の 3列シート側に設けられています。中央のB席にパーテーションとドリンクホルダーが設置されていて、窓側A席か通路側C席が選択できます。予約の際は、通常の指定席料金のほかに1,200円の追加料金が必要です。
欠点
欠点としては、座席のリクライニング角度が一般の座席と比較して浅くなっている点です。これは、背面テーブルがパソコン使用に特化した作りになっている関係上、背もたれが後ろの人のパソコンにぶつからないように配慮されているためです。ただ、普段から最大までリクライニングを倒す方はあまりいらっしゃらないと思いますので、この点に関してはあまり問題ないかもしれません。
ビジネスブース
設置箇所
7号車の8号車寄りデッキに設置されているビジネス用の個室です。以前喫煙ルームとして使用されていたスペースを有効活用して設置されています。
使用方法
7号車のS Work車両を予約した人のみのサービスで、座席の網棚に入っているリーフレットのQRコードを読み取るか、ビジネスブース内のタッチパネルから予約操作を行うことによって使用できます。
設備
完全な個室なので、周囲を気にせずにパソコン作業や打ち合わせ、電話などをすることができます。また、このビジネスブース内でもWi-Fiサービス「S Wi-Fi for Biz」が利用できるほか、テーブル上には充電用のコンセントとUSBポートが設けられているので、電子機器の電池残量を気にせず使用できます。以前は東海道新幹線で充電ケーブルの貸し出しサービスも行われていたのですが、現在はなくなってしまいました。
料金体系
利用は10分単位で最大60分まで。利用料金は以下の通りです。
- 0〜30分:200円/10分
- 30〜60分:300円/10分
長く使用すると10分あたりの金額が高くなる料金体系となっています。使用は短時間で済ませた方がリーズナブルですね。また、Pシートの料金は1,200円なのでビジネスブースを50分使用した時と同じ金額になります。周りを気にせず作業したい時、短時間で済ませるならビジネスブース、50分以上時間をかけるならPシートなんて使い分けもありだと思います。
設定されている列車
S Work車両は列車種別にかかわらず、16両編成のN700系とN700S系で運転されている全列車の7号車に連結されています。ただし、さきほどご紹介したWi-Fiサービス「S Wi-Fi for Biz」はN700S系のみ、またビジネスブースはN700S系のうち一部の編成にのみ設置されているので注意が必要です。利用の際は、JR東海のホームページで確認ができるようになっているので、事前に調べてから乗車されることをお勧めします。
また、N700S系以外は最前部・最後部の座席を除き、窓側以外はコンセントが設置されておらず、これはS Work車両の7号車も例外ではありません。携帯電話やパソコンを充電しながら作業がしたいときは、N700S系を選んで予約するか、または通路側を避けて予約しましょう。
購入方法
新幹線用のネット予約サイト「エクスプレス予約」のほか、みどりの券売機(指定席券売機)でも購入ができます。画面の表示に従って操作を進めていくと、途中で「一般席」か「S Work車両」かを選択する表示が出てきますので、ここで「S Work車両」を選択。
さらにこの後に「S Workシート」か「Pシート」かを選択する表示が出てきますので、お好みに合わせて選択して下さい。
【参考】駅のビジネスブース
S Work車両で展開されているサービスとは全く関係ないのですが、同様のサービスが駅にもありますので紹介させていただきます。
駅で展開されているビジネス用の個室は、鉄道事業者によって名称が異なります。
- JR東日本:STATION BOOTH
- JR東海:EXPRESS WORK-Booth
- JR西日本:+PLACE(プラスプレイス)
サービス内容が多岐にわたるので詳細は省略しますが、時間を有効活用するための設備が駅にもありますので、よかったら参考にして下さい。
S Work車両まとめ
以上が「S Work車両」に関するお話でした。内容を以下にまとめます。
サービスの概要
打ち合わせやwebミーティングなど、ビジネスを気兼ねなくできるよう配慮された車両。N700S系新幹線の7号車に連結。
- 「S Wi-Fi for Biz」が使える。
- 客室内で通話が可能。
- 「Pシート」が設置されている。
- ビジネスブースが利用できる。
S Wi-Fi for Biz
無料Wi-Fiサービスで通信容量が一般車両の2倍。接続時間無制限でセキュリティも強化されている。7号車S Work車両のほか、隣の8号車グリーン車でも使用できる。
客室内での通話が可能
通常、携帯電話で通話する際はデッキに出る必要があるが、S Work車両では客室内にいながら通話することが可能。
Pシート
隣の座席とパーテーションで仕切られたシート。パソコン作業がしやすいように背面テーブルも改良されている。予約の際は1,200円の追加料金が必要。リクライニング角度が一般の座席と比較して浅くなっている。
ビジネスブース
7号車に設置されているビジネス用の個室で、S Work車両を予約した人専用の有料サービス。座席の網棚に入っているリーフレットか、ビジネスブース内のタッチパネルから予約操作を行う。「S Wi-Fi for Biz」が利用できるほか、コンセントとUSBポートが使用できる。利用は10分単位で最大60分まで。
- 0〜30分:200円/10分
- 30〜60分:300円/10分
設定されている列車
S Work車両は16両編成のN700系とN700S系の7号車に連結されている。ただし「S Wi-Fi for Biz」はN700S系のみ、ビジネスブースはN700S系の一部の編成のみ。サービスの有無はJR東海のホームページで確認ができる。
N700S系以外は最前部・最後部の座席を除き、窓側以外はコンセントが設置されていないので注意が必要。
購入方法
ネット予約サイト「エクスプレス予約」や、みどりの券売機(指定席券売機)で購入可能。画面の表示に従って操作を進めていき、「S Work車両」を選択する。
【参考】駅のビジネスブース
S Work車両同様のサービスが駅にも展開されている。
- JR東日本:STATION BOOTH
- JR東海:EXPRESS WORK-Booth
- JR西日本:+PLACE(プラスプレイス)
最近は個室型のワーキングスペースが各地で展開されており、駅などでもしばしば見かけるようになりました。ちょっとした細切れ時間を活用したいというニーズの表れでしょうね。新幹線は在来線よりも乗車時間が長いことが多いので、なおさらだと思います。
一時期は売店や飲み物の自動販売機も撤去され、ただただ移動するためだけの列車になっていましたが、ここ最近は上級クラスの個室の新設計画が発表されたりと、再び付加価値を付けた列車が増えつつある印象です。S Work車両のサービス展開もその一つですね。
今回の記事が、新幹線での移動時間を有効活用するための豆知識として、皆さまのお役に立てたら幸いです。
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